
LTSS設計思想|“感覚受容器メカノレセプター”とは?──サッカー選手が知っておきたい「足裏の感覚」とは何か
2025.05.29
サッカー選手にとって、足裏の「感覚」は無意識のうちにパフォーマンスを支えている大切な要素です。
本記事では、足裏に存在する「メカノレセプター」と呼ばれる感覚受容器の働きに注目し、その役割や分布、プレーとの関係についてわかりやすく解説します。
前回の記事ではLTSS設計思想における「感覚の重要性」を取り上げましたが、今回はその根底にある“感覚の仕組み”に迫ります。
関連記事:LTSS設計思想|サッカー選手に気づいてほしい「感覚」とは何か
目次
メカノレセプターとは何か?
メカノレセプター(mechanoreceptor)は「機械的刺激(圧・振動・伸展など)」を感知する感覚受容器です。皮膚の表面や筋肉・腱・関節に分布し、接触や荷重、摩擦などの変化を神経信号として脳に伝えます。
特に足裏にはこれらの受容器が密集しており、「接地感覚」「安定性」「身体位置感覚(プロプリオセプション)」を支える重要なセンサー群といえます。
主な種類とその役割
マイスナー小体 (Meissner's corpuscles)
主に皮膚の表面近くに存在し、軽い接触や細かい振動を感じ取ります。物体の質感や動きの速さを感知するのに役立ちます。
パチニ小体 (Pacinian corpuscles)
皮膚のやや深い部分に存在し、強い圧力や速い振動に反応します。着地の際の衝撃や、地面の微細な振動を感じ取るのに重要です。
ルフィニ小体 (Ruffini endings)
皮膚の深い部分に存在し、持続的な圧力や皮膚の伸張を感じ取ります。立っているときの体重の負荷や、関節の動きを感じるのに役立ちます。
メルケル細胞終末 (Merkel cell nerve endings)
表皮の基底層に存在し、持続的な軽い接触や圧力を感じ取ります。物体の形状やエッジを認識するのに寄与します。
これらのメカノレセプターは、足の裏全体に均等に分布しているわけではありません。特に、体重が強くかかる部分や、細かい感覚が求められる部分に多く分布しています。一般的に、指の付け根あたり(前足部)やかかと(後足部)は、メカノレセプターの密度が高い領域です。
ご提示のイラストでは、色の濃淡によって感覚の分布を示唆していると考えられます。例えば、色が濃い部分はメカノレセプターがより多く存在し、触覚や圧覚がより敏感な領域である可能性が考えられます。
サッカーにおける感覚の重要性
これらの感覚受容器は、多種多様な局面においてのボディバランスの安定、ドリブル・パス・シュートといったプレー時に「どこに」「どのくらいの力で」「どのような感触で」接地しているかを脳に伝えます。適切なインプットがなければ、正確なアウトプット(動作)は生まれません。
つまり、足裏感覚の精度が、そのままプレーの質に直結しているといっても過言ではありません。
LTSSと感覚の再設計
LTSS(Leg Tool Separation System)は、こうした“感覚の受信環境”を整える設計思想です。足の構造と機能に着目し、ソックスを分離構造にすることで「本来備わっている感覚」を引き出す仕組みです。
とりわけ、足裏や足指にかかる無駄な圧迫を避け、感覚受容器の働きを妨げない設計は、競技者のパフォーマンス再現性と安定性を高めます。
感覚を生かす道具選びへ
サッカーシューズは、ピッチの状態と足との相性で選ばれます。同じように、足裏の感覚を生かすための「ソックス選び」も、新しい基準に立つ必要があります。
LTSSは、感覚という“インプット”を最大限に引き出すサッカーソックスの選択肢を提示しています。
LTSS 設計思想 セパレートソックス(短いソックス)
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フットボールクリエイター 角田壮監
足とシューズの最適化で競技者本来の力を引き出すという視点から世界初のサッカーソックスの構造を分離させ完成されたセパレートサッカーソックスLeg Tool Separation Systemを考案。
「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。