
”サッカーソックスを切る時代を終わらせたい” セパレートソックスだけで終わらせない──LTSS設計思想と「セパレートストッキング」の未来
2025.05.30
目次
サッカーソックスを切る時代を終わらせたい──LTSS設計思想と「セパレートストッキング」という進化
なぜ、サッカー選手はソックスを切って履くのか?
約10年前、今でも競技者が、5本指ソックスやグリップソックスなどの短いソックスを履くために、支給された一体型のサッカーソックスをハサミで切って使用しています。
その上からテーピングテープでぐるぐる巻きにして、なんとかフィット感やズレを防ぐ──。
私たちはこの「切って履く」という状況に、違和感を覚えてきました。
選手たちがなぜそんな手間と違和感を抱えながらも、わざわざそうするのか?
その答えはシンプルです。
“ない”から、切るしかなかった。
必要な機能と構造を備えたサッカーソックスが存在しなかったからこそ、選手たちは「切る」という選択を強いられていたのです。
LTSS設計思想──サッカーソックスを「設計し直す」という発想
2016年、私たちはこの現実に向き合い、「サッカーソックスの再設計」という考えにたどり着きました。それが LTSS(Leg Tool Separation System)設計思想です。
LTSSとは、サッカーソックスを以下の4つの構成要素に分け、足の構造や機能に合わせて最適化するという新しい設計思想です。
•セパレートソックス(5本指、ラウンド、グリップ付きなど)
•セパレートストッキング
•段階着圧インナーストッキング
•ソックス専用テープ
これにより、従来の「一体型サッカーソックスでは得られなかった感覚」──
素足感覚・素脚感覚・シューズとの一体感を実現することが可能になりました。
2017年、LTSSに基づく「セパレートストッキング」を製品化
2017年、武田レッグウェアー社(RxL)と協業し、LTSS設計思想に基づいた**セパレートストッキング(カーフソックス)**を製品化しました。
当時、セパレートソックスはグリップソックスメーカーがいくつか供給していた一方で、それに適合するセパレートストッキングという発想・製品は、国内外を見ても存在していませんでした。
この「切らない選択肢」の登場は、サッカーソックスの在り方に新しい基準を投げかけました。
普及の兆し──今、セパレートストッキングが注目されはじめている
LTSS設計思想の提言から数年が経ち、今ではアディダス社やアンブロ社をはじめとするスポーツメーカーや靴下メーカーが、セパレートストッキング(カーフソックス)を製品として供給するようになってきました。これは明らかに、サッカーソックスの分離構造が市場の「当たり前」になりつつある兆しです。
ただし、その本質を見失ってはいけません。
「セパレート=ソックスだけ」ではない。セパレートストッキングの進化が、全体の進化を加速させる
セパレートソックスばかりが注目されがちな現在の流れにおいて、私たちは一貫してセパレートストッキングの重要性を伝え続けてきました。
セパレートストッキングは、単なる“筒状の布”ではありません。
足首〜ふくらはぎという重要なパートを「最適な圧着力」「フィット構造」「ずれ防止設計」で支える専門機能部品です。
この部位が最適化されてこそ、セパレートソックスの効果も最大限に発揮されます。
セパレートストッキングの進化は、セパレートサッカーソックスの進化そのものです。
「切らない自由」を競技者に届けたい。LTSSが目指す未来
選手のフィジカルも、感覚も、シューズ、インソールも進化し続けています。
だからこそ、サッカーソックスも、そしてストッキングも進化させるべき時代です。
LTSSは、単なる分離構造の提案ではありません。
競技者が「切らずに履ける」「選べる」自由を手にし、
本来のパフォーマンスを引き出す環境を構築することを目的としています。
終わりに──思想としてのLTSSを、共に育てていくために
LTSSは、私たちだけの思想ではありません。
それは競技者・指導者・開発者・販売者・メーカー
──すべての関係者との共創によって育まれてきた普遍的な設計思想です。
だからこそ、これからも「伝える」「共有する」ことを大切にしていきます。
切る時代を終わらせる。
選ぶ時代をつくる。
その進化の先に、「ソックスを履くことで、より強くなる時代」があると、私たちは信じています。
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